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野沢和弘コラム
- [ プロフィール ]
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野沢和弘/千楽chi-raku 副理事長
静岡県熱海市出身。1983年早稲田大学法学部卒業、毎日新聞入社。いじめ、ひきこもり、児童虐待、障害者虐待などを報道する。論説委員(社会保障担当)を11年間務め、2019年10月退社。現在は植草学園大学副学長・教授、一般社団法人スローコミュニケーション代表、東京大学「障害者のリアルに迫るゼミ」主任講師、社会保障審議会障害者部会委員、障害者政策委員会委員なども務める。
重度の知的障害(自閉症)の子がいる。浦安市に住んでいる。
主な著書に「スローコミュニケーション~わかりやすい文章、わかちあう文化」(スローコミュニケーション出版)、「なんとなくは、生きられない。」「障害者のリアル×東大生のリアル」「条例のある街」(ぶどう社)、「あの夜、君が泣いたわけ」「殺さないで~児童虐待という犯罪」(中央法規)、「わかりやすさの本質」(NHK出版)、「福祉を食う~虐待される障害者たち」(毎日新聞社)「なぜ人は虐待するのか」(Sプランニング)など。

会社名
東京グリーンシステムズ株式会社

多摩センター駅から徒歩数分。株式会社CSK多摩センター内にある東京グリーンシステムズ株式会社(以下tgs)は会社のコンセプトでもある「社員とともに、地域とともに、自然とともに」という言葉どおり、敷地内に広がる田畑や庭園・屋上菜園など、緑と自然が溢れる特例子会社です。
東京都・多摩市・そして株式会社CSKの共同出資による重度障がい社雇用モデル企業として、CSKグループからの請負業務だけでなく、社外向けサービスにも力を入れており、中でも「農業」は、中核事業として地域に根ざしたサービスを展開しています。
これまでの運用で手ごたえを感じた同社では、今後も農業の領域を拡大予定で、このサービスを基盤のひとつとして固めていきたいと、管理部長米山さんのお話にありました。
ゆくゆくは管理を手がけている庭園を、近隣の方々に開放したいとのこと。ますます、地域に溶け込み、ここ東京都多摩市に根ざす特例子会社として発展していくことと思われます。

会社名 | 東京グリーンシステムズ株式会社 |
設立形態 | 東京都・多摩市・株式会社CSKの出資による第三セクター方式 |
所在地 |
東京都多摩市山王下2-3 CSK多摩センター |
設 立 | 1992年12月25日 |
資本金 | 1億円 |
事業内容 |
社外向けサービス(ギフトビジネス、WEB制作、名刺制作 ) 園・農園管理) |
従業員数 |
62名 ※2011年1月末現在 |

『参加、自立、共生』
【参加】多摩市
福祉から就労への橋渡しで障がい者の社会参加を促す
【自立】CSK
障がい者の就職開拓と雇用を通じて自立を支援
【共生】東京都
共生=ノーマライゼーションの実現に向けた障がい者の就業支援

採用で重視すること
採用については、挨拶や協調性なども見ますが、「家族や支援センターとのコミュニケーションが取れている環境で生活しているか?」にも重きを置いています。会社勤めの基本「毎日同じ時間に出社すること」は生活がベースにあり、その生活をサポートする家族や支援センターの存在が重要だと考えられるからです。 また、障がいの内容は配属先の部署によっては、今までのキャリアやスキルを重要視する場合もあります。 「会社」では、社員ひとりひとりが役割を持ち、戦力となっています。それぞれ労働を頼りにしていますので、何よりも「私生活がきちんとしていて、毎日自分の力で通勤し、元気に仕事ができること」が大切です。
地域密着型の社会貢献活動!
tgsでは、実習や入社後のOJT研修の他にも、レベルや成長・必要性に応じて様々な研修を用意しています。例えば、挨拶・マナー・身だしなみの研修、カウンセラーが行う障がいの特性を医学的見地から学べる研修、リーダーを対象にしたマネジメントのための研修などがそれです。 社外講師を招いたり、他社と一緒に受講したり、外部の研修を受けた社員が講師になって勉強会をしたり…と、とにかく「教育」を重要視しており、学ぶことに対して貪欲です。
信頼される仕事ぶりこそ自立に繋がる
障がい者だから…という条件に甘んじることなく、ひとつひとつの仕事をお客様の満足に値するよう、きっちりと行うことにより、「tgsに頼むと、完成度の高い仕事をしてくれる」と思ってもらうことを、常に目標にしています。 質の高い仕事は信頼を生み、信頼は必ず好循環をもたらしてくれるはずです。信頼される仕事をして、給料を貰う(=生活していく)こと、それこそが真の自立だと言えます。

中長期的な目標を掲げる
定期的に行っている賞与や給与に反映される評価・考課のもととなる「目標設定」については、それぞれのグループごとにマネージャーが中心になり「5年先どういう会社であって欲しいか?自分自身はどうなっていたいか?」などを中長期的に考えています。近い将来に目指すところを会社・グループ・個人で明確にして、その目標をかなえるための手段を考えています。また、それらの目標については、マネージャー、リーダーとメンバーの間で共有し、達成に向けて努力しています。
リーダーを目指す
現在8名いるリーダーの中には、障がいを持つ方達もいます。リーダーとは、統一された内容・やり方でメンバー指導できること、問題点を抽出できること、そしてその解決手法を考えられること、またメンバーを含めてスケジュール管理のできる人であり、そうした内容を学ぶためのリーダーを対象にした研修も行いはじめました。 もちろん待遇面もそれなりに上がりますが、リーダー職に伴う、やりがいや責任感・充実感を求め、リーダー職を目指し努力している社員も多いといいます。
自分のペースで社会復帰
tgsでは「ステップアップ雇用制度」による採用も受け入れています。これは、日ごと・週ごと・月ごとに少しずつ就業時間を増やしていき、半年かけて20時間就労を実現させるという制度です。精神障がいを持つ方など、急な環境の変化や長時間の労働が負担になる社員には、とても有効な制度です。また、人との関わりが苦手な場合などは、まずは一人で行う業務からスタートし、少しずつペアやチームなど多人数で行う仕事にステップアップしていきます。

(管理部長 米山様)
当社では、「働く意欲のある人物」を広く求めています。そして、事業会社である以上は、会社としても自立することを目指しています。 それは、たやすいことではありません。けれども、就労を希望する方々も、障がい者雇用企業、という言葉に甘えず、常に、前向きにチャレンジしていく姿勢でいて欲しいと思います。
チャレンジしたことは、必ず何らかの結果が出ます。たとえ失敗したり、思ったとおりでなかったとしても、一生懸命努力した「経験」が個々に自信をもたらせてくれることでしょう。 また、仕事は、サッカーと同じで1人で全てが完結するわけではありません。いわゆる、チームプレーが重要となります。チームプレーとは、サッカーも仕事もその本質は同じだと思います。
2004年のヨーロッパ選手権(サッカーの大会 EURO2004)では、ダークホースのギリシャが優勝しました。以下は、それを例に出した、日本代表のオシム前監督のコメントです。
“EURO2004ではギリシャが優勝しましたが、あの中に誰か有名な選手がいたでしょうか? (いません。)
彼らは自分たちがやるべきこと、それ以上でもそれ以下でもない自分たちができることを、試合で最大限に成し遂げました。
11人で戦うサッカーにおいては、それこそが一番重要なのです。
例えば、ジダン(元フランス代表。名実共に名選手)はジダンでいいでしょう。
でも、サッカーとはひとりの選手の質では決まらないもの。
チームがどういうプレーをするかこそが最も大事になります。”
支援関係者の方々へは、生活面のフォローを中心に就労を継続できる環境づくりにご支援いただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
会社見学 |
ホームページよりご確認下さい (各種団体・法人を通しての対応となります) |
実習 | 同上 |
採用情報 |
現在募集はありません。ハローワークにご確認ください。 |
連絡先 | TEL 042-310-1261 担当:吉川(きっかわ) |


●螺旋(らせん)スロープ
建物の中庭には、避難用のスロープが設置してあります。車いすでの利用を考慮し、傾斜をなだらかにするために螺旋(らせん)状に設計されています。また、暑い日の農作業でかいた汗を流すこともできるシャワー室、休憩時間に身体を休めることのできる畳のスペースなど、様々な設備が整っています。

敷地内の温室では、キャベツやブロッコリー・ネギ・イチゴなど…季節に応じて旬の野菜や果物が栽培されています。ひとつひとつ丁寧に苗や種を植えつけ、愛情をたっぷりかけて育てた作物は、社内のレストランやショップで提供したり、社外でも福祉店舗や野菜販売所で販売しています。アグリサービスは中核の事業として、今後も積極的に拡大していくとのことです。

●屋上菜園からの癒しの風景
CSK多摩センター内には田端や庭園をはじめとした緑が広がり、まさに企業コンセプトにある「自然とともに…」を象徴する光景をあちらこちらで目にします。社屋にも屋上菜園が作られていて、目の前に広がる畑と高層ビルが調和した風景は心を癒してくれます。